しかくかんけい!


「……あげる」

「え?」

「気に入ったなら、これ、あげるよ」


ページをビリビリッとちぎって、少女の膝の上に乗っけた。


「いいの……?」

「うん。僕が持っていても、しょうがないし」


絵を描いても、どうしようもない。


俺が絵を描いたところで誰も、喜んではくれなかった。


そのころから周りの大人は、
「将来はパパみたいにしっかりしてね」とか
「いっぱい勉強して一人前になるのよ」とか
呪いのごとく、俺に言い聞かせていた気がする。


「絵を描いてばっかじゃ、お祖父ちゃんみたいになっちゃうわよ」


なんて脅すように言って。



俺の祖父は、画家だった。

しかし、その人生は無名なまま終わった。

いわゆる“売れない画家”というやつ。


聞いた話によると、毎日アトリエにこもってただひたすらに絵を描き続けていたらしい。

もちろんそれで生活が成り立つわけがなく、いつの間にか膨れ上がった借金。

そして膨大な借財と無数の絵を残し、突然この世を去った。





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