しかくかんけい!


借金の肩代わりをした身内からは、かなり恨まれていたようだ。

その影響もあって両親や親戚は、俺が絵を描くとあまりいい顔をしなかった。


だから俺は、辞めた。



みんながいい顔でいられるように、真面目な優等生になろうと決めた。

そうしたらみんな、喜んでくれた。


でもたまに、ふと、筆を持ちたくなる衝動に駆られる。


そういうときはこっそりこの河川敷に来て、無心で絵を描いた。


だからだと思う。

初めて会った人なのに、こうやって接することができたのは。


普段はあまり他人が隣にいると落ち着かないが、彼女は受け入れられたんだ。


初めて俺の絵で喜んでくれた人。

認めてもらえたと、思った。


「……ありがとう」


そう言って夕焼け空を描いた画用紙を手に入れた少女は、茜色に染まった実物を見上げた。


俺も、見上げた。



桜色の隙間が、茜色。







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