しかくかんけい!
……────そんな昔の記憶が、
走馬灯のように頭を駆け巡った。
あれから10年、今もこうして同じように隣に彼女がいて、俺の絵がある。
「まだ持ってたんだ」
「うん、宝物だもん」
「たから、もの、……って、そんな大したものじゃないのに」
驚いた。
別に、特殊な色鉛筆で描いたわけでも、
すごい技術が使われているわけでも、
何か特別な賞を取ったわけでもない、
ただの絵なのに。
綺麗だと思ったものを、
ありのままに描いただけの、
ただの風景画なのに。
「私にとってこれは、大切な存在だから」
「……」
そう言ってまた横になり、俺から絵を受け取ったら、両腕を伸ばして透かすようにその絵を眺める愛莉。
「好きなの」
突然放たれた言葉に、一瞬ドキッとする。
目だけ、愛莉の方に、向ける。
「そらの絵、好き」
愛莉も目だけ、こちらへ向く。
「っ、ありがと」
少し声が動揺した。
愛莉は優しく柔らかく微笑んで、
俺の絵を大事そうに胸へ抱き寄せた。