しかくかんけい!
「何をするにも、大変じゃないものなんてないと思う。いくら楽に生きようと思っても、人生に困難はつきものだから」
「……まあ、そうだな」
「だから、
不本意なことで大変な思いをするよりも、
本当に自分のやりたいことで苦労した方が
ずっとずっといい人生になる気がするわ」
くるりと振り返り、
そう思わない?
とこちらを見て目を細める。
愛莉の言葉っていつも、
どうしてこんなにも、
俺を奮い立たせるのだろう。
父親みたいに安定のサラリーマンになっても、忙しくて大変な日常があって。
祖父みたいに好きなことを仕事にしても、不安定で苦労するような日常があって。
どっちみち、大変な道を通るのには変わりない。
それなら。
それなら、俺は。
もう今までどおり、従順な道は進まない。
つまらない人生なんて、嫌だ。
「俺、美大目指す」
勢い良く体を起こし、同じ目線にいる愛莉をまっすぐに見つめて、宣言した。