しかくかんけい!


う、確かに……。


間近にあったしょーくんの瞳を思い出して、少し名残り惜しくなる。


愛莉の言うとおり、あのまま流れに身を任せても良かったのかもしれない。

そうして好きの気持ちをぶつけて、触れて、君一色に染まればいい。


今振り返ればそう思えるのに、真逆の行動をとってしまった私。

考えるよりも先に、からだが勝手に動いちゃったみたいだ。


「ていうかっ、しょーくんも悪いもん!好きでもない人にそんなことするなんて、ただの女たらしじゃん!」

「手慣れてるのかしら」

「てっ!? あ、あのジェントルマンな王子様に限ってそんなことっ」

「でも実際見たんでしょ。獣のような顔、だっけ?」

「うっ」


ふふっと小鳥のさえずりのように笑った愛莉は、お弁当箱のトマトをひとつ、口へ運ぶ。

すると、箸を止めて何かを思い出したようにこちらを見た。


「しょーくんのうわさ、知ってる?」

「う、うわさって……」

「ウラでは千人斬りっていう武勇伝」



例の、うわさ。




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