しかくかんけい!


「愛莉……」


古ぼけた木製のテーブルだけどかなり響いた。

相当、怒っているのだろうか。



「私、ファーストキスは両想いの人って決めてるから」


静かにそう言って、静かに男子たちを睨みつけ、静かに箸をとり、静かに再びごはんを口にする。

ぽかん、と男子たちは固まって、クールな愛莉を見つめていた。


たった一言。
されど、一言。

ファーストキスはまだだということ。
俺と愛莉は両想いではないということ。
つまりそれは、俺たちが付き合っていないということ。


その一行ですべてを表現し、男子たちを黙らせる。


我にかえった男子のうち一人が、
「あぁ、そう……」と呟いて、結局 変な空気のままその時間は終わった。




そうして帰りのバス。


偶然にも隣になってしまい、なんだか気まずいな、と思いつつもそう感じているのは俺だけだったようで。

愛莉はいつもと変わらぬ様子で接してくるから、少し安心する。



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