しかくかんけい!


■■ 愛莉side ■■




「はあ……はあ……」


最近なんだか走ってばっかな気がする。

カバンの肩紐の下は、汗でびっしょりになっていた。


気持ちが悪くて肩からおろし、素手で肩紐を握りしめる。

走っているときはそうでもないのに、運動した直後にどっと溢れるこの汗って一体どんな神経してんのよ、
と、汗かきな私は心底うんざり。


やっと家に着いたら、いつも通りただいまと言い、いつも通り家族と団らんしながら夕食をとり、いつも通り部屋へ戻って好きなことをする。


私の親は比較的、自由奔放な育て方をしてくれたと思う。

幼い頃から、一人で外をほっつき歩いても、一人で台所に立ち初めて包丁を握っても、一人で公園を走り回って遊んでも、何も言わなかった。


止めようとも注意しようともせず、ただ、見ているだけだった。

わがままを言っても何も口出しせず、私の好き勝手にさせていた。


今思えば、ある意味育児放棄ともとれるこの扱いに、少し寒気がする。




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