しかくかんけい!
「聞いたことある、けど……」
しょーくんは中学時代、千人斬りを果たしたとかなんとか。
詳しくは知らないけど、確か、こんな感じのうわさだったと思う。
──普段は誰にでも優しくて、勉強もスポーツも何でもできる“爽やかな王子様”。
だけど実はウラの顔を持っていて、その顔というのが“危険な王子様”と言われているらしい。
“危険な王子様”と目が合ってしまったが最後、一瞬で虜になってしまうそう。
そうして魅惑的な淵に堕ちたらもう、抜けられなくなる。
それで何人もの女の子たちと肉体関係を持っていたから、いつしか千人斬りを果たしたという武勇伝が生まれた。──
「やはり手慣れてるのかしら」
愛莉がつぶやく。
ミシッ……と、私の中の王子様というイメージ像に、ヒビが入ったような音がした。
私が恋した君は、そんな人?
一瞬そう思ったけど、
あれはただのうわさだ、信じたくない、
という気持ちがすぐにそれを否定する。