しかくかんけい!


「ごめん、気づかなかった」

「もういいわ。それより、無断欠席って一体どうしたの」

「えっと、休んだのは、まあ……」


淡々と話し始めるそら。

黙々と話を聞くハナ。

適度に相づちを打つ私。


少し騒がしい周囲はもう、私の耳からは既に遠ざかっていた。


そらは今日、亡くなったお祖父ちゃんのアトリエへ行ったらしい。

昨日の夜、ご両親に画家になりたいことを伝えたら、やはり猛反対されたそう。


言い合いになり、目を覚ませとビンタされ、本気ならばここから出ていけと。

よく見ると、そらの左頬はほんのり赤らんでいた。


「だから、しばらくは家に帰らない」

「学校は?」

「行くよ。大学落ちたら元も子もない」

「食事は?」

「アトリエに台所あるから」

「お金、は?」

「日雇いバイトする」

「……すごく心配」



ひとり暮らしなんてしたことないのに。

一体どれくらいの期間そうするつもりなの。

気持ちはわかるけど、もし何かあったらって。


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