しかくかんけい!
そらくんの好きな人は、愛莉ではない。
「そんな……じゃあその誰かさんって、もう誰かわかってるの?」
「うん」
「だ、れ……?」
「……」
自嘲するように息を吐いた愛莉は、うつむいて黙る。
「愛莉っ!うそだよね?冗談だよね?だって、そらくんを一番に思ってるの、愛莉だけだもんっ!」
たまらず愛莉の肩を揺らす。
「さっきだって、そらくんは愛莉のこと“大切な存在だよ”って言ってたじゃん!ねえっ」
サラサラの髪が、音を立てずに揺れる。
そっと、私の右手に愛莉の左手が重なる。
「ねえ、ハナ」
ゆっくり顔を上げる愛莉。
「なにっ」
「ハナは、しょーくんのこと好きだよね」
「っ、なんで今そんなこと……」
「いいから。好きだよね?」
無表情なその顔は、念を押すように問いかける。
「もちろん好きだよっ。誰にも負けないくらい、大好きだもん!」
例えどんなうわさがあろうと、
何度からかわれようと、
どんなに子ども扱いされようと、
好きなもんは好きなんだ。