しかくかんけい!


そらくんの好きな人は、愛莉ではない。


「そんな……じゃあその誰かさんって、もう誰かわかってるの?」

「うん」

「だ、れ……?」

「……」


自嘲するように息を吐いた愛莉は、うつむいて黙る。


「愛莉っ!うそだよね?冗談だよね?だって、そらくんを一番に思ってるの、愛莉だけだもんっ!」


たまらず愛莉の肩を揺らす。


「さっきだって、そらくんは愛莉のこと“大切な存在だよ”って言ってたじゃん!ねえっ」


サラサラの髪が、音を立てずに揺れる。

そっと、私の右手に愛莉の左手が重なる。


「ねえ、ハナ」


ゆっくり顔を上げる愛莉。


「なにっ」

「ハナは、しょーくんのこと好きだよね」

「っ、なんで今そんなこと……」

「いいから。好きだよね?」


無表情なその顔は、念を押すように問いかける。


「もちろん好きだよっ。誰にも負けないくらい、大好きだもん!」


例えどんなうわさがあろうと、

何度からかわれようと、

どんなに子ども扱いされようと、

好きなもんは好きなんだ。



< 208 / 433 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop