しかくかんけい!
愛莉は肩に置かれた私の手を持ち上げてそっと剥がす。
「……だったら、それでいい」
「へ?」
どういうこと?
それでいいって、どういう意味?
私がしょーくんを好きなことと、
なんの関係があるの?
「それ以上聞かないで。今そらのこと考えると、つらいの」
長いまつげが少し揺れる。
いつもの柔らかい表情に戻っていた。
「……ぜ、全然意味わかんないよ」
「いいの。ハナは知らないほうがいい」
ごめんね、と言って踵を返し歩き出す愛莉。
私は強すぎる重力に逆らえず、地面から足の裏が離れない。
「ほらハナ、早く行こう」
まるで何事もなかったかのようにこちらへ声をかける愛莉。
サアッ……と風が吹く。
少し、冷たい秋風。
その風が、私の背中を押す。
愛莉はきっと今、闘っているんだ。
あのときの、私みたいに。
「あのね、愛莉!」
私はできるだけ明るい声で言った。
「なに?」
愛莉もいつもの優しい声で返事をする。