しかくかんけい!


「愛莉、きっと推薦されたんだよ!いや〜すごいなあ♪」

「私が?ハナの方が選ばれるべきじゃないの」

「あ、無自覚症候群だ!こんなに美人なのに気付いてないなんて、本当に損してるっ」

「そのセリフそのまま返すわ」


とりあえず行ってくる、と言って立ち上がる愛莉。

私も立ち上がり、手を差し出す。


「教室に持ってっとくよ、お弁当箱」

「あ、助かる。ありがとう」

「うんっ」


屋上を出て、途中まで一緒に歩く。


「いってらっしゃーい!」

「うん」


ひらりと手を振る愛莉を見送る。


あらためてその姿を眺めると、仕草一つひとつが優雅で、色っぽくて、思わず目を奪われる。


それに無自覚な愛莉は、つくづく自分に関して鈍感なんだなあと思う。


でも他人の気持ちには敏感で、特にそらくんに対しては過敏なくらい鋭くて。



『愛してるから』


そう言った愛莉の真剣な表情は、
どこまでもまっすぐで強くて、
あたたかいものを感じた。




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