しかくかんけい!


「愛だなぁ」


そうつぶやいて一旦教室に戻った私は、暇つぶしに図書室へ足を運んだ。

ひんやりとした静かな空気と、書籍の独特な香りに身を包まれる。


この学年になって初めて訪れたお昼休みの図書室は、全然人がいない。

ほとんど貸し切り状態じゃん、なんて思いながら、キョロキョロと見渡す。


白雪姫のストーリーの復習でもしようかな、と思い付いたので童話コーナーへ向かう。


「童話、童話……っと、ここだ」


本棚の角を曲がって、すぐ目に入った人物は。


「あっ」


そのイケメンを見て思わず声を上げてしまう。

当然のごとく君はこちらに気づく。


「あ、ハナじゃん」

「し、しょーくんっ!どうしてここに……」

「どうしてって、俺が図書室にいたらダメ?」


まあ、それもそうか。

しょーくんだって図書室に行くよね。


「ううん、び、びっくりしちゃっただけ」


偶然会えたからちょっとうれしいなんて、口が裂けても言えない。



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