しかくかんけい!



いつも通り、ひと気のない四角い空間。


直方体の本棚が静かに整列して、4本の脚を伸ばす机と椅子は誰にも利用されずに佇む。

別に、変わったところはない。


気を緩めて室内の奥へと進む。

奥から3番目の直方体を通り過ぎた、

刹那。



「うわっ」

「っ、」


本棚の陰から突然出てきた茶髪と俺の鼻がぶつかりそうになる寸前で身を引く。

聞き覚えのある声で、少し下にある顔を見ると。


「あ、そらっち。相変わらずデカいな」

「……」


あいつは俺を見上げてそう言った。

だからその呼び方、やめろよ。


あからさまに嫌そうな顔をしたのに、あいつは気にすることなく楽しげに会話を始める。


「ちょうどよかった、そらっちに確認したいことがあったんだ」

「何」


ちょっと来て、と言って手招きし、奥の方へ誘導するあいつ。

俺ら以外誰もいないはずだから、そんなにコソコソする必要はないと思うんだけど。


「そらっち、愛莉のこと好きか?」

「は?」



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