しかくかんけい!



「好きなんでしょ?」


目を細めて片方だけ上がる口角。

不敵な笑み。


「だったら何?」


足に力が入る。


「ふっ、そらっちもハナもほんっとわかりやすいよねー」


だから近いって。

息がかかって気持ち悪いっつーの。


はあ、もう、イライラする。

ハナの名を軽々しく呼ぶ、こいつに対して。


さっき図書室を飛び出したおかしな様子だった彼女が脳裏に浮かぶ。

この空間で、こいつと二人きり。

気に食わない。


「またハナに何かしたのか」

「えー、またってなんだよ、またって。常習犯みたいな言い方すんなよ」


ニヤニヤとふざけたように笑い、俺の質問をはぐらかすこの男。

舐めるような態度が癇《かん》に障り、その胸ぐらをつかむ。


「お前は」

「ん?なーに、そらっち?」


余裕の笑みがムカつく。

甘いマスクを被ったその顔、今すぐ剥してやりたい。



「ハナが好きなのか」


なんでそんなにハナを弄ぶ。

なんでそんなにハナに近づく。

なんでそんなにハナと絡むんだ。


そんなにハナが、好きなのか。

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