しかくかんけい!


教室へ入ると同時に皆の視線が俺に集まる。


「しょーくん、どこ行ってたのぉ」

「探したんだよ〜」


いつものように派手な女どもが群がる。


相変わらず、耳が痛い。

甘ったるい声のつもりなのか知らないけど、不快音だからやめてほしい。

いったいどうやったらそんな音程になるんだよ。


という本心は包み隠し、王子様スマイルと呼ばれているらしいマスクで顔面を覆う。


「ごめんね、ちょっと後輩から呼び出しされちゃって」


優しい声でそう言えば、また告白〜?と困り眉になる女子。

あんたは初日に呼び出したくせにな。


「しょー、数学のノート貸して!俺今日ぜってー当てられる!」


金髪くんが教室中に響き渡るほどデカい声で叫び、一生のお願い!と言って手を合わせる。


「しょうがないな、この時間だけだよ」

「マジ神!すげー助かる〜」


机の中からノートを取って渡したとき、ふと後ろに人の気配を感じる。


振り返ると分厚いメガネの黒髪がぬうっと幽霊のように立っていた。





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