しかくかんけい!


「しょーくんも入ってたね」

「…っ、うん!さっすが王子様だなぁ」


うまく言えたと思う。

動揺なんて、してないよう。


「たしか去年は辞退してたわよね」

「あ、そう言えばそうだったね〜」


ほら、うまく言えた。

動揺した声じゃないし、愛莉だって何も気づいていない顔。


もしかして、あんな出来事、実は起こっていないのかも。

だってありえない。

爽やかな王子様は、あんな卑猥なことしないもん。


現に今も、私はこんなに平然としてて、うまくセリフが言えて、まだちゃんとしょーくんが好きなんだ。


図書室でのあの出来事は、きっと夢だったんだ。


そう、あれは、非現実。




化学室に着いて時計を確認すると、5時間目の授業開始まで少し時間があった。


「どうして今年は出場する気になったんだろ?」


愛莉のほうを伺ってみれば、さあ、と肩をすくめる。


「気になるわね」

「うん、気になる!ちょっと聞いてみようかなあ」


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