しかくかんけい!
一瞬、何をされたのか理解できなかった。
「……くなかった」
「え?」
「言わせたくなかった!!!」
愛莉は苦しそうに顔を歪ませて、震える声で叫んだ。
その様子を見て、
ああ、俺は今ビンタされたのか、と気付く。
「どうしてなの?あなた、全部知ってるくせに!」
そう愛莉の口から奏でられるメロディーは、
とてもとても、切なくて、寂しくて、
美しいね。
「うん、知ってるよ。ハナの気持ちも、そらっちの気持ちも、それから……」
彼女の美しい瞳を見つめて、息を吸って、
その鼓膜を、振動させる。
「……愛莉の、気持ちも」
ハナは俺が好き。
そらっちはハナが好き。
そして愛莉は、そらっちが好き。
「じゃあどうして、こんなことするの」
「どうしてって?」
決まってるじゃないか。
理由はただ、ひとつ。