しかくかんけい!


■■ 愛莉side ■■





……────ただならぬ空気。



赤のカラーフィルターに切り替わった両サイドの照明は、中央にいる私たちふたりをそういうムードに包む。


ひやりとした。

あの嫌な予感が、よみがえる。

的中する、と思った。



「実は俺、愛莉のことが好きなんです」


さらりと述べられたそのセリフは、私の聞き間違いであってほしいのに。


「俺の彼女になってください」


照れ臭そうにそう言って差し出された右手。

待ってましたとばかりに沸き上がる会場。


それらが聞き間違いである事実を完全否定し、頭の中を金槌で殴られたような気分になった。


……ああ、なんて、最低な人。


私が必死に阻止してきたその言葉を、
こんなふうに晒すなんて。


私がせっかく守ってきた大切なものたちを、
こんなふうに傷つけるなんて。


やり方が、ずるい。

どうしてこう、なっちゃうかな。



< 293 / 433 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop