しかくかんけい!
■■ 愛莉side ■■
……────ただならぬ空気。
赤のカラーフィルターに切り替わった両サイドの照明は、中央にいる私たちふたりをそういうムードに包む。
ひやりとした。
あの嫌な予感が、よみがえる。
的中する、と思った。
「実は俺、愛莉のことが好きなんです」
さらりと述べられたそのセリフは、私の聞き間違いであってほしいのに。
「俺の彼女になってください」
照れ臭そうにそう言って差し出された右手。
待ってましたとばかりに沸き上がる会場。
それらが聞き間違いである事実を完全否定し、頭の中を金槌で殴られたような気分になった。
……ああ、なんて、最低な人。
私が必死に阻止してきたその言葉を、
こんなふうに晒すなんて。
私がせっかく守ってきた大切なものたちを、
こんなふうに傷つけるなんて。
やり方が、ずるい。
どうしてこう、なっちゃうかな。