しかくかんけい!
感情があふれるのをぐっとこらえて、緊張で震えもしないその手をぶっきらぼうに掴む。
冷静になれ、と自分へ言い聞かせて、この場を甚だ力まかせに脱する。
そして彼の期待した目をしっかり見ながら、
そして早く目を覚ませと期待を込めながら、
平手打ちを。
パシッ、
という自らが鳴らした音で、
抑えていた感情が解放される。
「言わせたくなかった!!!」
そんな生ぬるい気持ちなんて、
言わせたくも、聞きたくも、なかった。
私はそんな感情、受け付けない。
それに、彼は全部知っているはず。
他人の心境を簡単に見透かしてうまくコントロールする彼を、これまで幾度なく目にしたことがあったから。
私たちの気持ちを、知らないわけがない。
彼はそんなに、この関係を壊したいのかしら。
「どうして、こんなことするの」
「どうしてって?」
決まってるじゃないか、と言いたげに口角を上げ、私の目をじっと見つめる。