しかくかんけい!
幼い子どものような声に思わず彼を見上げた途端、
彼の指がつつ、と私の首筋に触れて本能的に音が漏れる。
はっとして口を抑えるも、彼はそれを取り払って私の顔の周りをふわふわと撫でる。
「もっと鳴いて」
うわ言のようにぽつりと言葉が落ちた。
おかしいよ。
さっきの凶器のような目は、どこへ行ったの。
今の彼はまるで、
ただの欲求不満な、
子ども。
そんな彼を今すぐ笑い飛ばしたいけれど、ここで笑ったら負けな気がしてぐっと息を殺す。
ああ、もう、耐えるの割としんどい。
そうだ、私はまだ告白の返事をしていない。
早く切り上げてしまいたい、そんな気持ちが先走り、お腹に力を込めて叫ぶ。
「ごめんなさい! さっきの返事!」
そうして持ち前の全力ダッシュでこの場から去ろうと一歩踏み出した、と思ったら。
「だめ」
その行動は学習済みだというような勝ち誇った顔で腕をとられた。