しかくかんけい!


ふと、私の顔を覗き込んで心配そうな顔をするハナ。


「愛莉、なんか元気ないね」

「そりゃそうよ、だって……」


あんなことがあったんだから、と続けそうになり口をつぐむ。


「ん?」


急に黙る私を不思議そうに見る彼女。


違う、と思った。

本当は傷付いているはずなのに、
なんでもないように装って、
私と普通に接している。


いつもの、感情を前面に出しているハナと、違うハナ。

自分を閉じ込めているハナだ。


その閉じ込めている感情も、そうなった原因も、どうしてそうするのかも、なんとなくわかっている。

でも。


「……連休明け、だし」


でもそれはやっぱり言えなくて、連休を替え玉にした。


「んも〜、ほんと愛莉って、お休みのあと弱いよねー!」


そんな単純な工作でさえ気付かないハナは本当に天然で、私に少しの罪悪感をくれる。


「うん…」


ため息と一緒に返事をした。




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