しかくかんけい!


「うわさで聞いたことない?」

「うわさって……」


彼女は内緒話をするように手を口元に当て、ぐっと私の耳元へ近づいて。


「お・ん・な・あ・そ・び!」


例の武勇伝(うわさ)だ。

春頃にハナと屋上で話した記憶がある。


「昨日ラブホに入って行くの見た人がいるって。やばくなーい?」

「……」


うちも犯されたーい、なんてきゃあきゃあ盛り上がる彼女。

それを横目に、なんだかもやっとした感情が胸の奥でうごめく。


「本人はただの気まぐれって言ってたけど、実際は憂さ晴らしじゃないかーってみんな思ってる」


つまり、私に振られたことのショックで、女遊びに走ったってこと?


「……女遊び、か……」


それって、誰彼構わずそこら辺の女の子に声かけて、捕まえて、そうして……

っていうかそもそも高校生ってラブホ入れたっけ、
なんてくだらない心配事が浮かび、ああ、もう、考えるのはやめよう、と首を振って。


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