しかくかんけい!

「まだ時間あるけど行こっか」

「うん!」


道具を揃える必要があるから早めに美術室へ移動することにした。


美術室に着くと、もうすでに何名かいて、その中にはそらの姿もある。

目が合って、ハナも気が付いて、とことこ歩み寄って。


「そらくんは写生課題、どこでやるのー?」


と気さくに話しかけるハナに、そらは少しだけ目を見張り、気遣うように話す。


「んー……まだ、決めてないかな」


その表情から読み取れる感情が、ぎゅうっと私の心臓を握り締める。

大丈夫か、どうしてそんなに平気そうにしているのか、心配だ、……そんな幻聴が聞こえてきそうなほど、そらの気持ちがひしひしと伝わった。


「そっかー、じゃあ、屋上はどう?愛莉も行くっていってたし!」


ねっ、と私の方を見るハナ。

にやけた口元は私とそらを一緒にしたい思惑を醸し出す。


「うん、屋上涼しいから」

「じゃあ俺もそうしようかな」


天気いいし、と言い足して手元にあった色鉛筆を削り始める。



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