しかくかんけい!
そんな様子を見てにんまりと満足そうに笑うハナに、どこで描くのか尋ねると、
実はねー、と削った色鉛筆をケースに並べながら言う。
「こないだ部活の自主練場所探してるときに、お気に入りの場所見つけたんだよね〜」
「お気に入りの場所?」
「うんっ、音楽室のすぐ上の教室なんだけど、なんか物置き部屋みたいになってたの」
「西棟5階か……そういえばあったかも」
「窓から見える景色、なんか絵になるなあってずっと思ってたから、そこにするっ」
そっか、と頷いて私も色鉛筆の箱の蓋を開けて全色揃ってるか確認してみる。
これから2時間、そらと一緒に絵を描く。
普段ならすごく嬉しいのに、どうしてか今は少しだけ、苦いような酸っぱいような、そんな感情が胸にあった。
屋上に出ると、秋らしく空気が澄んでいる。
どこまでも透明なそれは、胸の中にある色々な感情をまっさらに浄化してくれる錯覚がした。