しかくかんけい!
キーンコーンカーンコーン……と、唐突に鳴ったチャイムが、5時間目終了をお知らせした。
かなり集中していたらしい。
この1時間が10分程度に感じた。
隣を見れば、そらがスケッチブックをアイマスクにして仰向けになっていた。
「いつのまに描き終わってたの」
私はまだ6割程度しか仕上がっていない。
「いや、ちょっと休憩してた」
そう言ってよいしょっと起き上がる彼のスケッチブックを見れば。
「完成じゃん」
「んー……納得いかないからもう一枚描く」
「振るわないの?」
「まあそんなとこ」
そうして少しうつむく彼から、一抹の哀愁が漂って。
私はそっと、問いかける。
「何か悩みごと?」
えっ、とわずかに驚いてちらりと視線をくれるも、すぐに前を向く。
「……愛莉は本当にすごい」
なんでもお見通しだ、と眉を下げつつ微笑する、横顔。
ふう、と空を見上げる、横顔。
そして慎重に言葉を選ぶように、ゆっくり口を開く、横顔。
その横顔が、放った言葉は。