しかくかんけい!
「俺たちは、四角関係だ」
全ての色が消えた。
どきん、と心臓が怯えた。
手の中にあった木製の棒がカランと落ちた。
その横顔は、言葉を続ける。
「ハナの好きな人、あいつだって知ってた?」
「……うん」
固い蛇口を無理やり捻り出して、
わずかに音を出す。
「だから告白、断ったんだろ?」
「っ……」
違う。
その3音はなぜか、どんなに捻り出しても流れない。
「やっぱり愛莉は、とてもやさしい」
それは柔らかいセリフのはずなのに、
私の心は固い何かで殴られたように痛い。
それはあたかも、
私がしょーくんのことを、
想っているかのように、
聞こえたからだ。
落ちた色鉛筆を拾う。
ちゃんと青い色に見えた。
「……四角関係、って」
痛いけれど、核心的なところはまだ、
聞いていない。
これを聞けばきっと、
私は酷く傷付く。
「うん。俺さ、」