しかくかんけい!


「はあ……」


なんとも言えない哀しみが、押し寄せる。


天を仰ぎ、押し寄せる感情をせき止める。


『俺たちは、四角関係だ』


そうよ。

私たちは、一方通行な四角関係。


『俺はハナが好きで、ハナはあいつが好きで、あいつは愛莉が好き』


……続きは?


“愛莉は俺が好き”


という、私の気持ちは?


どうしてあなたは、気づかないの?



鼻の奥でつんとした痛みは涙腺を刺激し、透明な血液が目尻から落ちた。


うつむけば、それはどんどん溢れてきた。


ぽつ、ぽつ、と未完成な画用紙の上に容赦なく落ちていき、涙色の水玉模様が彩る。



ああ、やっぱり、強くなんてなれない。

この涙が、その証拠だ。



止まらないそれは甘い味がして、

心の傷を癒やしているみたいだと思った。












< 314 / 433 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop