しかくかんけい!
残酷な季節
■■ しょーくんside ■■
「しょーくぅん、放課後はもう予約空いてない?」
クラスの谷間女が、俺に近づいて甘ったるい声で言う。
「あー埋まってる、ごめんね」
「そっかぁ……次はいつできるぅ?」
「今からじゃ、だめ?」
えっ、と驚いた顔から嬉しそうな顔になるまで1秒もしない。
その谷間女を連れて適当に物置き部屋と化した教室へ忍び込む。
扉を閉め、ガチャリと鍵をかけた瞬間、授業開始の無機質なCadd9第三転回形がピッチをやや低めに外して鳴った。
不快だ。
その音をかき消すように濃厚なリップ音を響かせる。
「は、んっ……」
糸を引いて離れた唇をもう一度、別の角度から押し付けて。
何度も何度も繰り返し、淫らな音だけを充満させる。
嗚呼、やっぱり、違う。
あの音色が忘れられない。
思っていた以上に、彼女に夢中だったらしい。
だからこうして、埋まらない空洞を誤魔化すように、快楽へと溺れる。