しかくかんけい!



スケッチブックと色鉛筆の箱を抱きかかえ、緊張気味に肩を強張らせる背の低い女子生徒が立っていた。



「ハナじゃん」


その名を呼ぶと、はっと顔を上げたと思ったらすぐに逸らす。


「その……私っ、何も、見てないからっ……」


明らかに動揺しているのはその高速まばたきが証明している。


「こっそり覗き見なんて、悪趣味だね」


一体いつからそこにいたのか。


「ち、違うから!私はただ、美術の写生課題しにきただけだもん!ここの窓から見える景色好きだから!」

「射精?なに、俺の裸でも描きに来たの?」

「はっ!?へへへへへ変態!そもそも私の方が先にここ来たんだからっ」

「へえ、じゃあ一部始終見てたわけね」

「みみみみみ見てない!さっきまで寝てたんだもん!」

「ふうん。居眠りなんて悪い子だね?」


うっ、と既に蒸気が立つほど真っ赤な顔を気まずそうに歪め、言い訳を探すように泳ぐ眼球。




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