しかくかんけい!


それは“あの日”と同じ、どこまでも素直で純粋で、無防備だ。


嗚呼、やっぱこの女、




「犯したい」



そう思って、軽く顎を持ち上げれば。



「……っ!!」



はっと息を呑む音がする。



これはたぶん、俺に落ちた合図《おと》。


もう、逃げられないよね。



「俺のこと、好きなんでしょ?」


彼女のうぶで澄んだ大きな目は、

俺だけを写す。


だからそれに応えるように、

心の奥底までをも見透かすくらい、

甘くて熱い視線を送る。



「き、きらい、だもんっ……」


そんなこと微塵も思っていないくせに。


「素直になりなよ」


囁いて、その唇を奪うために、近づく。


今にも彼女の熱に触れる、と思った瞬間。





ガラッ!


「っ!?」





ハナの涙も、俺の性欲も、ピタリと止まる。



……あー、失態。


後ろのドアはまだ鍵かけてなかった。

もう、せっかくスイッチ入っていたのに。


邪魔をしたやつの顔を確認するために首を回すと、そこには見覚えのある彼で。







「あ、そらっち」









< 320 / 433 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop