しかくかんけい!




……──トイレを済ませた俺は、屋上に戻る途中であいつとすれ違った。


あいつは、不快な身だしなみの女を連れてズカズカと廊下を歩いていた。ため息が出た。

先日愛莉に告ったばっかりなのに、もう新しい女ができている。


本気とか言っておきながらこの行動。

やっぱりあいつは信じられない、と胸クソ悪くなった。



屋上へ戻って愛莉のそばに座り、本日2枚目の絵に取りかかったが。


モノクロのそれに着色すべく、整列した色鉛筆たちをぼけーっと眺めて。

もうかれこれ20分くらい経っているのに、スケッチブックは下書きまでしか進んでいなかった。


休み時間あいつを見かけたせいで、非常に胃がムカムカする。

やっぱりあいつは嫌いだ。


ポキッ。


「あ」


その嫌悪感が伝わったのか、芯が折れた。



ふと、どうしてハナはあんなやつが好きなんだ、と疑問が浮かぶ。

確かにあいつの見た目は格好いいし、社交的で目立つし、表向きはいつもニコニコしている。




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