しかくかんけい!
開かない。
おかしい。
確かにここから出てきたはず。
だったら後ろのドアだ、と思って急ぐ。
ガラッ!
開いた。
真っ先に目に入ったのは、大っ嫌いな茶髪。
それは腕の中に小さな女の子を捕らえている。
それがハナだと認識するのに寸秒もいらない。
咄嗟にそいつを引き剥がし、胸ぐらを鷲掴みする。
「言ったよな?ハナには手を出すなって」
「……あー、言ってたね」
「今何しようとした、てめえ!」
お前が好きだったのは愛莉じゃねえのかよ。
振られたからって好き勝手してんじゃねえよ。
その行動がどれだけハナを苦しめているのかわかれよ。
「……だからなに?」
「は?」
「だから、そらっちはハナの何なの?彼氏?婚約者?旦那さん?」
「……別に、そんなんじゃ……」
彼氏でも、婚約者でも、旦那でも、ない。
俺にとってハナは、好きな人。
じゃあハナにとって俺は、何?
友だちの幼馴染?
クラスメイト?