しかくかんけい!
「あぁー。今日も怒られちゃうのかな〜」
「まあまあ。仕方ないわよ、フルートって難しい楽器だし」
難しいって言う本人も、高校で初めてフルート触ったはずなのにすんなり綺麗な音出すし。
もともと中学ではホルンやってたとは言え、楽器の構造は全くの別物なのにさあ。
「私も早く、愛莉みたいな綺麗な音で吹けるようになりたい〜」
「まずは基礎練だね」
はーいと気のない返事をして、カバンの中に楽譜が入っているのをしっかりこの目で確かめた。
私の重たい足取りに愛莉はあきれながらも合わせてくれて、二人並んで音楽室へ向かう。
「おはようございまーす」
「おはよ〜」
「先輩、おはようございます」
音楽室へ着くと、いつものように部員たちのにぎやかな挨拶が飛び交う。
昼でも夜でも「おはようございます」の挨拶にはもうすっかり慣れた。
でも今日のおはようは、みんないつもより引き締まっているのが伝わる。