しかくかんけい!
「……なにそれ」
そらくんはふっと視線を外し、頭をがしがしっと掻きながら、
はあ、とひとつため息をこぼした。
すると、あのさ、と言って立ち上がり、こちらに体を向けて。
私の座っている椅子の背もたれに手をついたと思ったら、顔を覗き込むように腰を折る。
「っ!?」
急に至近距離の白肌に、思わず背中が反る。
「ハナにそんなこと言われると……」
「う、うん?」
「俺、あきらめられないよ」
「……え?」
そう言って私から離れて、さっと腕時計を確認して。
「もうすぐチャイム鳴る」
手を差し伸べながら、行こう、と優しい声で呼びかける。
「う、うんっ」
急いで立ち上がってその手を取り、一緒に教室を出た。廊下はひんやりしていた。
すきま風の音がして窓を見れば、朱色の葉っぱたちがゆらゆら踊っている。
その中の一人がふわふわと風に乗って遠くへ去って行った。
「早いなあ」
並んで歩きながら、ふと思ったことを口にした。
「何が?」