しかくかんけい!


美術室のある3階フロアについたとき、そらくんが私の肩を引いた。


「どうしたの?」

「……お手洗い、行ってきて」


そらくんが立ち止まったのは女子トイレの前で、入り口を指差している。


「え?私が?」

「その……鏡、あるから」

「鏡?どうして……、はっ!」


そうだ。

あんなに泣きじゃくったんだから、きっとものすごい形相のパンダになっているに違いない!


「それ持ってくよ」

「あ、ありがとうっ!いってき!」

「うん」


優しいそらくんに荷物をお願いし、急いでトイレに駆け込んだ、と思った次の瞬間、


「っ!」

「ぶへっ!?」


何者かが目の前に現れて、ぶつかりそうになって、というかぶつかって、
でも当たったのは柔らかい何かで、痛くはなかった。


ブタみたいな声出してしまったなあと思いながら顔を上げればそれは、胸を押さえて驚いた表情の愛莉だった。


「ハナ……びっくりした」


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