しかくかんけい!


……────誰もいない静かな教室。


見渡すと、椅子やら机やらが積み重なっている。

ほかにも段ボールとかポスターの筒とかいろんなガラクタが散々して、いかにも物置き部屋って感じ。


少しほこりっぽいけれど、最上階のここは電気をつけなくても大丈夫なくらいに明るい。

日の当たる窓辺に立つと見下ろせるのは、砂色の世界。


「わあ……」


そして運動場のその向こうに広がる家々の屋根は、日光を反射して眩しく見えた。

この季節特有の澄みきった空気のおかげか、夏よりも遠くまで見通せる気がした。


……なんだか、私の心と真逆だな、と思った。

文化祭のとき感じた黒い“ナニカ”は、今もしっかり胸の奥底にある。

それがいたずらに浮き出てこないよう、しっかりと分厚い壁で遮断していた。


それから、後夜祭で目を閉じたあの感情も、今は睡眠中なのだ。

だから絶対に起こさないよう注意して、静かに、静かに、目を背けている。



< 341 / 433 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop