しかくかんけい!



このスリルの中ではもちろん寝れるわけがなく、ただひたすらに耳を塞いだ。



しばらくそうして、激しい音が止まったような気がして、そーっと顔を上げる。

服のこすれる音がする。


やっと終わった……と安心したのも束の間。


次に聞こえた音は、私の頭を真っ白にした。



「ねぇ、そんなに好きだったの?」

「何が?」

「アイリちゃん」

「なんで?」



この、声、って…………。


ズキン、と、心臓が震えた。


間違えるはずがない、声の正体。

だってそれは、私の大好きな、王子様……の、はず……。



「フラれた“しょーくん”もっと慰めたくなるぅ〜」

「愉しいから、いいでしょ?」

「まぁね」


あれ?

やっぱり、違う人かな。

別のしょーくんかも。


だって私の知ってる“優しい王子様”は、もっとキラキラしているし、こんな、女遊びみたいなこと、しないもん。


「やっぱり、失恋の味がする」

「ははっ、くだらない」



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