しかくかんけい!
「強がりな王子様〜。こんなときくらい弱音吐けばいいのにぃ」
そう、この人は“強がりな王子様”だから。
私の大好きなしょーくんじゃない、はず、
なの…に……
「っ……」
涙が出るのは、どうして?
現実逃避、なんて言葉が、このときの私にはぴったりなのかな。
しばらくして、ガラガラ、と扉の開く音がして、はっと我にかえる。
もうここから出て行ったみたい。
ほっとして、肩の力を抜く。
すると、出しっぱなしだった黄緑の色鉛筆がころころと机を転がる。
そして床へ、カラン、と落ちた。
それを拾おうと、手を伸ばした、刹那。
「……誰?」
「!」
体が硬直する。
ま、まだいたの!?
さっき出て行ったのは一人だけってこと!?
ガタンゴトン、と仕切り代わりになっている向こう側の椅子や机を動かす音がして。
やばい、逃げなきゃ、と思って、慌ててスケッチブックと色鉛筆を抱える、けれども。
足音はもう、すぐそこに。
「え、」
「……ぁ、」