しかくかんけい!


声の正体は、正真正銘、しょーくん(大好きな王子様)だった。


キシッ、パリパリ……、

という音がして、

それは私の頭の中だけで響いたもので、

それは私の中の“しょーくん”というイメージに、大きな亀裂が入る音で。


私が恋した君は、そんな人?


これまで目を伏せてきた現実が、容赦なくそのイメージに叩きのめして亀裂を縁へと変えていった。


粉々になった破片は私の心に突き刺さり、目から無色の血液を流してくれた。


理想が壊れる瞬間だった。




……────ジジッ。


月白に輝く街灯に、虫がぶつかる音がした。

日はすっかり落ちていた。


「つまり、今までハナが好きだったしょーくんは、優しい王子様の方だったと」

「うん……」

「で、しょーくんは裏で女遊びしているっていう武勇伝(うわさ)が本当だったから、ショックを受けて号泣……ってわけ?」

「うん……」


はあ、と呆れたようなため息をついたのは愛莉。


そして、何かを決心したかのように頷いて、言う。









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