しかくかんけい!



「でも、それでも私は、そらが好き」

「……っ」


その声は、切なさと愛おしさを帯びて、そして力強い。


「ハナは、優しい王子様じゃないしょーくんを目の当たりにしたから、もう嫌いになったの?」


少し高い位置にある二つの瞳は、私を見下ろしている。

目線までも、私を貶めているようで。


「……んないよ」

「え?」


込み上げてきたのは、悔しさ。

まだかまだかと出番待ちしていた真っ黒な塊は、私の中で、ぎゃんぎゃん騒いで、暴れて、そして、



「愛莉にはわかんないよ!!!」



飛び出した。


はっと大きく見開かれる、愛莉の両目。


「なんなの!私は愛莉より好きの気持ちが劣ってるって言いたいわけ!?」

「っそ、そんなこと」

「愛莉はいつもそう!どこか上から目線で私にものを言う!本当はそうやって私のことバカにしてるんでしょ!?」

「っ、そんわけ!」

「ある!愛莉には私の気持ちなんてわかんないよ!」


止まらない。

どんどん、黒い感情が、弾丸のように、

飛び出す。



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