しかくかんけい!



振り向いた顔は逆光なのに、
白く浮き立つようにはっきり見えて。


「うん、おいで」


そう言って微笑んだそらくんは次の瞬間、
うしろに倒れてゆく。

どさっ、と音がして、見れば両手で頭を支えて仰向けになっていた。


だから私も、両腕を上げて、緑の海へバックロールして。


「気持ちいいね〜」

「うん」


そらくんの隣は、とても心地よかった。

もうこのまま、彼の海へ沈んでしまえたら。

そうしたら、どんなに楽だろう。


ぼうっと空を眺める。


静かな時間が続く。


食後のせいか、まぶたが重くなって、また同居しようとしている。


うっすら見える景色には、大きなスカイブルーのキャンバスに、紅葉色が落書きしていた。

その紅葉色が揺れ動いた、と思ったら、

サアッ……と冷たい風が吹いて。


少しだけ寒気がした。


その風はまるで、冬を呼んでいるよう。


そんな風のざわめきにまぎれて、サク、と芝生を踏む音が聞こえて。

でも私の閉じかけた視界はそれが誰か認識するには及ばず。



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