しかくかんけい!



眉をひそめてこちらを伺う。


「裏庭で、密会してる」

「……そっか」

「あれ、思ったより傷付いてないね?」

「…………だって、」


言葉を途切らせ目を伏せると、短いため息をついて、次の句を継ぐ。


「既に、自分で傷付けたから」


……既に、傷付けた?


そういえばなんだか、今の愛莉はどことなく覇気がない。

いや、覇気っていうか、ほら、以前の愛莉にはあった、強さのようなもの。

それが今は、芯が折れたような、花が萎れかけているみたいな。


こんなに弱った彼女は、初めてだ。


夏祭りの夜みたいにその瞳は赤くないのに、それとは比べものにならないくらい、弱っているようで。

そのせいで、俺の本能はすこぶる奮い立つ。


この不安定な愛莉を、もっと、めちゃくちゃにしてやりたかった。


そうして、鳴いて、すがって欲しかった。


だから俺は、ほんの少しだけ、揺さぶってみた。


これまでどうしても落ちなかった愛莉を、

揺さぶって、追い詰めて、そして。



この手の中に……






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