しかくかんけい!
早打ちでそう返事をすると、
賞味期限が今日までだからこれから会おう、
という文字を見た瞬間、弾かれたようにベッドから飛び起きた。
「いってきまーす!」
あまり遅くならないようにねー、とリビングから聞こえたから、はーい!とつま先をトントンしながら返事をした。
玄関のドアを開けた途端、ひゅう、と北風に肌を撫でられて、寒っ!と口走る。
見上げると、空は曇っていた。
「……ビミョーだなあ」
数秒迷って、再び半開きのドアの内側へ潜り込む。
靴箱の隣に立て掛けてある折りたたみ傘を掴んだ、ときに。
『急に降ったよねー』
『お昼ごろから雲行き怪しかったよ』
『そうなんだ。あっ!愛莉、傘持ってる?』
『折りたたみなら』
『さっすが〜』
…春と夏の中間の季節。
ソロコンよりも中間テストよりも少し前、まだ私が何も知らなかった頃。
あのときの何気ない会話が、ふわっと浮かび上がった。