しかくかんけい!
手の中の折りたたみ傘を、じっと見つめる。
そういえば、しっかり者の愛莉はいつも、折りたたみ傘を持っていた。
「はあ……」
私はこの先ずっと、折りたたみ傘を見るたびにこの会話を思い出しては、こうしてため息をつくのかな。
「あーっ、もう!」
だめだめ、考えない考えない!
ぶんぶん首を横に振って、頭に浮かぶもやもやをかき消して。
足に力を込め、地面を踏み鳴らすように、大げさに歩いた。
音はならない、もこもこのブーツだけど。
〔ついでに話したいことがあるから、俺の家でもいい?〕
ケーキを食べる話に続けて、そんなメッセージが来た。
“話したいこと”って何だろう。
すごく気になる。
……やっぱり、愛莉のことなのかなー、なんて思わずにはいられない。
そういったことを考えていたら、あっという間にバス停に着いた。
するとタイミングよく教えてもらった系統のバスが来て、プシュー、と音を鳴らして開くドア。