しかくかんけい!


ポストみたいな箱から舌のように出ている整理券をピッと引いて。

窓際の一人席に座り、ぼーっと窓の外を眺める。


流れる風景は色あせていた。

街路樹たちの枝は枯れ葉ひとつさえもなくなっていて、とても寒そう。


まだ午後3時過ぎなのに、太陽の光を遮る分厚い灰白のせいで、あたりは薄暗い。

さらに気温もぐっと低くなったから、道行く人々はみんなコートやマフラーで防寒しているけれど、寒そうに縮こまっていた。


「寒っ」


見ているこっちも寒くなってきちゃって、音にならないくらいに小さく、息をした。


バスに揺られて30分くらい経った頃、目的の駅名がアナウンスされ、降車ボタンをおして。

小銭をパラパラ運賃箱へ投入し、ひんやりした世界へ降りた。


初めて来たこの場所を、ぐるっと見渡してみる。


向こうには休憩中の裸の畑が見えて、反対の向こうには常緑樹の小高い丘が見えた。



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