しかくかんけい!



街から少し外れただけなのに。

私が住んでいるコンクリートに囲まれた住宅街とは別世界で、土の匂いと美味しい空気があった。



「ハナ」

「ん?」


振り返れば、自転車から身軽にトンッと降り立って、こちらへ近づくそらくんだった。


「遠くからごめんね」

「ううん、思ったよりあっという間だったよ」

「ならよかった」

「それより…なんだか、ローカルな感じだね」

「うん、俺も最初の印象はかなり田舎だなって思った」

「あっ、えっと、うん」


そんな会話をしながら、見通しのいい道路の真ん中を並んで歩く。


「でも意外と、不便していなくて。ほら、向こうにも電車通ってるし」


そらくんが指を差した方向には、タイミング良く電車が通過していた。


「あ、ほんとだね」

「何もないけど生活には困らない場所だよ」


そう言われて周りをよくよく見渡せば。


コンビニはないけれどスーパーはある。

ビルはないけれどアパートはある。

カフェはないけれど自動販売機はある。




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