しかくかんけい!


確かに、生活には困らなさそう。


「なんか、中途半端な感じ」

「え?中途半端?」


聞き返したら、そらくんはチラッとこちらを見て、また前を向く。


「この町も、俺たちも」

「……えっと、」


どういうこと? と尋ねようとしたら、
それを待たずに、ここだよ、という声が聞こえて。

見れば、一軒の平屋があった。


「これが、アトリエ…」


ちょっと、想像していたのと違った。

アトリエって言うと、森の中にひっそりあってトタン屋根で土足で、みたいなそんなイメージだった。

でも目の前にあるのは、風通しの良さそうな土地で窓も玄関もちゃんとある、一般的な家。


そんなことを思って突っ立っていたら、ハナ、と呼ばれて。

自転車を停め終えたらしいそらくんは、玄関のドアを開けて待っている。


「どうぞ」

「あっ、し、失礼しまーす!」

「うん」


慌てて駆け寄り、家にあがる。

すると、ふわっと美味しそうな香りが鼻をつく。


「美味しそうなカレーの匂い〜」






< 369 / 433 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop