しかくかんけい!
確かに、生活には困らなさそう。
「なんか、中途半端な感じ」
「え?中途半端?」
聞き返したら、そらくんはチラッとこちらを見て、また前を向く。
「この町も、俺たちも」
「……えっと、」
どういうこと? と尋ねようとしたら、
それを待たずに、ここだよ、という声が聞こえて。
見れば、一軒の平屋があった。
「これが、アトリエ…」
ちょっと、想像していたのと違った。
アトリエって言うと、森の中にひっそりあってトタン屋根で土足で、みたいなそんなイメージだった。
でも目の前にあるのは、風通しの良さそうな土地で窓も玄関もちゃんとある、一般的な家。
そんなことを思って突っ立っていたら、ハナ、と呼ばれて。
自転車を停め終えたらしいそらくんは、玄関のドアを開けて待っている。
「どうぞ」
「あっ、し、失礼しまーす!」
「うん」
慌てて駆け寄り、家にあがる。
すると、ふわっと美味しそうな香りが鼻をつく。
「美味しそうなカレーの匂い〜」