しかくかんけい!
「そうやって先回りして、後回しにした愛莉の気持ちを見せないように、誰かの手を引っ張って、前を見て、全力で走るんだ!」
持ち前の速い足で!
とハナは泣きながら笑う。
そしてハナは、でもね、と言ってまた、真剣な表情になる。
「そんな愛莉に、たくさん助けられた。だから、ありがとう。私、愛莉のこといっぱい感謝してるよ」
そう言って今度は、ふにゃっと、濡れた頬がやさしく上がった。
それを見た瞬間、なんだか力が抜けた。
肩の重荷がすっと取れたような、締め付けていたベルトが緩んだような、そんな。
ハナの笑顔は、やっぱり好きよ。
だって何でも、話せそうな気がする。
純粋に受け取ってくれるって、わかるから。
ふう、とひとつ息をこぼし、空を向く。
「……違うの」
私はぽつりと投げた。
「え?」
「私は綺麗でも、大人でも、優しくも、器用でも、ないわ」