しかくかんけい!


後夜祭のあの瞬間。

私が必死に回避してきたセリフを放たれた、あの瞬間。

自分の無力さに、腹が立った。


そしたらもう一気にそらへの想いが暴れた。


『幼馴染じゃイヤだし、
 私だけを見て欲しいし、
 他の人の隣になんていかないでって、
 そんな感情ばかりが心を独占する』

『こんな形じゃイヤなの。
 私はそらと……そらとっ、
 両想いっていうカタチじゃないと、
 満足できないのよ!』


ずっと抑えていたその欲張りは、私をどこまでも追い詰めた。


一度溢れてしまった気持ちを、またもとの程度に戻すなんてことは、そう容易くない。


ああ、壊れる、と思った。

ああ、私は、こんなにも無力なんだな、と。


「結局私って、大人ぶって偉そうなことだけ言って、全部わかってるくせに本当は何もできない、ただの強がりな、子どもなのよ」



そう吐き捨てると、悔しくなって。


繋いでいない方の手に、力が入る。

爪が食い込んで、痛みが走る。




< 394 / 433 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop